保育施設とは…
保護者が就労しているなどの理由によって保育を必要とする乳幼児を預かり、保育することを目的とする施設を総称して保育施設といいます。
児童福祉法第7条に規定される「児童福祉施設」を指し、児童福祉法に基づいて整備されるため、厚生労働省が所管を担っています。
一方、幼稚園は学校教育法によって整備されるため、文部科学省が所管しています。
このように、同じ乳幼児を預かる施設でも法律によって所管が異なり、その整備過程にも大きな違いがあります。
◇◇◇
ここでは、児童福祉法に基づいて国や自治体の補助金を活用して整備する「保育施設」について説明していきます。
保育施設は大きく「認可保育所」と「認可外保育施設」に分かれます。
※1 認可保育所
「認可保育所」は、図のピンク色で示した施設で、各市町村の待機児童数や環境などを考慮して、自治体主導で整備がされます。
地域のニーズに応じて、自治体の子育て支援課などのホームページ上で、
”保育施設を整備する事業者の公募について”
というようなタイトルで公開されます。
職員や保育室の面積基準は、左表のとおりです。
定員は20人以上としていますが、60~90人規模で募集されることが多く、60人以上となると、160坪~の土地を用意できることが理想です。
特に都心部では、まとまった広さの土地を探すのに苦労される方を多くみてきました。
立地、つまり、土地探しが公募の要と言っても過言ではありません。
※2 小規模保育事業
小規模保育事業は、その名前のとおり小規模かつ0~2歳児までを対象として保育事業です。
A型・B型・C型に分かれており、C→Aの順で設置基準が厳しくなっています。A型は認可保育所の基準に近く、C型は家庭的保育事業の基準に近いとも言えます。
自治体主導で行う小規模保育事業の整備は、A型とB型であることがほとんどですので、小規模保育事業で公募申請を検討する場合は、A型の基準を念頭に準備を始めることをお勧めします。
また、A型・B型・C型共通で、保育内容の支援及び卒園後3~5歳を過ごす受け皿の役割を担う園、連携施設の設定を求められています。
ただし、連携施設や保育従事者の確保等が期待できない離島・へき地に関しては、特例措置が設けられていますので、整備する自治体と相談しながら進めます。
※3事業所内保育事業
企業が自社の従業員の子どもに加え、地域の子どもの受入れも実施する認可保育所です。
地域のニーズに合わせて整備される地域型保育事業のひとつで、0~2歳児を対象としています。
平成27年にスタートした「子ども・子育て支援新制度」の中で新設された取組みです。
企業主導型保育事業は、「子ども・子育て支援新制度」により、平成28年度から企業向けに内閣府がスタートしました。
受け入れ可能な子どもの年齢に制限はなく、未就学児であれば対象となります。
企業の負担金である事業主拠出金を財源とし、整備費と運営費が助成金が支給される仕組みで、返済の必要がありません。
国の基準を満たしていない認可外保育施設となりますが、認可保育所と同程度の助成が受けられます。
保育時間や園児の受入れに関して自由度が高い企業主導型保育園は、保護者が多様な働き方を選択しやすいというメリットがあります。
一方、事業所内保育園は自由度は高くありませんが、一定の保育士数を配置するなど基準として保育の質を保証しているというメリットが挙げられます。
また、これから事業拡大を目指していく事業者様にとって認可園の運営実績は大きなアドバンテージとなるのが実情です。さらに、職員が他の福祉事業の管理者要件で、認可園での実務経験が実績として認められることもあります。
事業所内保育事業と企業主導型保育事業では、職員配置や対象年齢に違いもありますが、事業者様にとっても職員にとっても、最も大きな違いは認可の有無と言えるでしょう。